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2012年12月8日土曜日

理想は実現できるか?~子供の頃に聞いたお話の考察

年中僕らは会社勤め。
朝早く起きて満員電車に揺られ、会社では仕事の山で定時に帰れることなんてない。残業代はでないし、わずかだったボーナスも去年の冬から全くなくなった。 
いっつも終電。 
へとへとになって帰り着いた家にはだれもいないし、なんにもやる気が起きないから、シャワーあびて寝るだけ。 
そんなことのくりかえし。 
一生懸命働いても上司は認めてくれなくて、いつでも僕らが仕事をさぼらないか監視していて、成果が上がらなかったり、ちょっとでもミスをしようものならまるで給料泥棒とでも言わんばかりにグチグチとお説教さ。あんた、いったいどれほど俺に金を払ってくれてるっていうんだよ! 

耐えかねた僕はある日、ささいなことで上司と口論になり、カッとなって退職願を叩きつけて辞めてやった。 

やっと得た自由。なんてすがすがしいんだ。 

僕は高卒だからハンディキャップはあるだろうけど、頭は良い方だしやればできる奴だから大丈夫。 
仕事なんていくらでもあるんだし、まぁ、なんとかなるっしょ 。

高校の時の友達の女の子に「会社辞めてやったよ、せいせいした」って言ったら、とてもうらやましがってた。どこの会社も理不尽なんだな、ほんと、クソみたいな世界だよ。 

もう、毎日が楽しくてたまらない。あさっぱらから夜中までゲーセンやネカフェに入りびたり。貯金はあんまりないから贅沢はできないけど、なんて幸せなんだ! 

たまに母親が「あんた、これからどうするの?」って電話してくるけど、まったくうるさいよ。あんなにこきつかわれたんだ、ちょっとくらい休ませろっての。たまにハローワーク行ってるけど、ろくな仕事ないんだって。おまえ、やってみろっての。どうせすぐに次の仕事みつかるよ。 
でもさすがにウザくなってきたから、最近は居留守つかってるけどね。 

貯金少ないから、飯は1日1食。でもやっぱり腹は減るからさ、なんか食べなきゃ。 
たまには焼肉でも食べないと身体に力が入らない。カップ麺ばっかじゃ、さすがに栄養偏るってw 
なんか、やつらを見返してやるいい儲け口ないかな… 

ネカフェでパソコン見てたら、おいしそうな広告発見。 
「わずかな投資で、絶対に儲かる裏技教えます!パソコンの前にすわっているだけで、楽して月収1000万円」 
ほんとかね? でもまぁ、登録料無料みたいだし、登録だけしてみるか、どうせタダだ。 
それが間違いだった。 

口車にのせられて、変なシステム利用料のためにローン組まされた。「最初は大した収益はないけど、3ヶ月後からは利益がでますよ」って、もう半年たつのにぜんぜんじゃないか! 
毎月の利用料のせいで貯金はどんどん減っていって、とうとう0になった。でも途中解約すると、違約金を払わなきゃいけないから、あと半年は解約できない。 

とにかく、システム利用料を払うために仕方なく消費者金融の扉を叩いた。あとは転落人生。借金で借金を返す生活。そのうちにどこでも借りられなくなり、あやしい広告をたどって借金を口利きしてくれるって業者へ。 
薄暗い雑居ビルにある闇金のドアをくぐると、チンピラ風の男がじろじろと僕を嘗め回すように見たあと、奥へ招き入れた。奥には趣味のわるいド派手なスーツを着た禿親父が座っていた。 

結局僕はダメなやつなんだ。前は、借金まみれになって自己破産する奴とか自殺しちゃう奴とかニュースで見て鼻で笑ってた。自分はこいつらとはちがう、特別な人間だなんて思ってたけど、あいつらと変わらないロクデナシなんだ。 

禿親父はにやにやしながら、したなめずりするようにゆっくりと、「で、いくらほしいの?」って言った。 
地の底から響いてくるような野太い声で身体中から血の気が失せ、もう、取り返しのつかないところまで来たんだって悟った。 








引用:およげたいやきくん
まいにち まいにち ぼくらは てっぱんの うえでやかれて いやになっちゃうよ 
あるあさ ぼくは みせのおじさんと けんかして うみに にげこんだのさ 
はじめて およいだ うみのそこ とっても きもちが いいもんだ 
おなかの アンコが おもいけど うみは ひろいぜ こころがはずむ 
ももいろサンゴが てをふって ぼくの およぎを ながめていたよ 
まいにち まいにち たのしいことばかり なんぱせんが ぼくの すみかさ 
ときどき サメに いじめられるけど そんなときゃ そうさ にげるのさ 
いちにち およげば ハラペコさ めだまも クルクル まわっちゃう 
たまには エビでも くわなけりゃ しおみず ばかりじゃ ふやけてしまう 
いわばの かげから くいつけば それは ちいさな つりばりだった 
どんなに どんなに もがいても ハリが のどから とれないよ 
はまべで みしらぬ おじさんが ぼくを つりあげ びっくりしてた 
やっぱり ぼくは タイヤキさ すこし こげある タイヤキさ 
おじさん つばを のみこんで ぼくを うまそに たべたのさ 
(およげ!たいやきくん 作詞 高田ひろお :作曲 佐瀬寿一:唄 子門真人)



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